2013年に『キングオブコント』王者となり、2015年に旗揚げした劇団では岸田國士戯曲賞の最終候補に2度ノミネート、さらに近年は若手芸人の賞レース『ABCお笑いグランプリ』や『UNDER5 AWARD』にて審査員を務める――芸人からもお笑い好きからもその異才にたしかな信頼を寄せられる、かもめんたる・岩崎う大。その半生は、いくたびもの挫折と巡り合いによって前に進んできた。初の自伝的エッセイ『かもめんたる岩崎う大のお笑いクロニクル 難しすぎる世界が僕を鬼才と呼ぶ』(扶桑社)を上梓した岩崎に、人生のTHE CHANGEを聞いた。【第2回/全5回】

岩崎う大 撮影/石田寛

 近年、全国各地の大学でお笑いサークルが活発に動いている。令和ロマン真空ジェシカラランドなど、メディアや賞レースで活躍する学生芸人出身者は枚挙にいとまがなく、今や“大学お笑い”はひとつのジャンルとして確立された。実はかもめんたる・岩崎う大も大学お笑いに出自を持つひとり。ただ、岩崎が早稲田大学のお笑いサークル「WAGE」に入った1997年当時の空気は、今とはまったく異なっていた。

「単なる文化系の、それもなかなかマニアックなサークルのひとつでしたね。サークル外の人からしたら“早稲田まで来てお笑いやるの?”って感じで、そんな本気でやっているとは誰も思ってなかったんじゃないかな」