柴咲コウは、これまでの活動で視聴者に鮮烈な印象を残してきた。あるときはドラマで、また別のときにはアーティストとして縦横無尽に活躍。90年代から現在に至るまで順風満帆に見える彼女の人生の転機とは?【第2回/全3回】

柴咲コウが芸能界に入ったのは、スカウトがきっかけだった。化粧品のCMに出演するやいなや注目を集め、映画やドラマに出演するようになる。
「それまで芸能の仕事に興味を持ったことがなかったので、はじめの頃は俳優というお仕事に対して、いま思うと甘っちょろかったですね」
ところが、18歳のときにオーディションで選ばれて出演した映画で衝撃を受ける。
「『バトル・ロワイアル』で、深作欣二監督の映画にかける情熱に圧倒されました。監督の演出によって、自分でもまだ知らなかった内面を引っ張り出されたような感覚がありました。たとえば、怒りの演技に対して“そんなもんなのか!?”と深いところまで情熱的に追い詰めてくれる。わたしを含めて、出演俳優は10代の若い人たちが多かったんですけど、情熱ということでいったら、わたしたちは70歳の監督に負けていると、良い意味でのショックがありました」