「決して逃げないようにしたい」その真意は
モデルになりたくてオーディションを受け、それまでは演技に対してそれほど興味を持ってはいなかった。しかし、たとえレッスンであっても、別の人間になることが、心地よかったという。
「実はわたし、自分のことがそれほど好きではなくて……でも、お芝居では役を通して自分だったら決して表には出さない感情や、口に出せない言葉を表現できる。動いたり、話したりしているのは確かにわたしの身体なんですけど、わたし自身ではない。とても不思議な感覚だったし、レッスンで役を演じている間は、少しだけ自分を好きになれる瞬間があったんです」

レッスンを通して知った、演じることの喜び。それは、作品で役を生きるたびに増していった。
女性のデリケートな問題を扱ったドラマ『生理のおじさんとその娘』(NHK)では、思春期の女の子をリアルに演じて高い評価を得、TBS日曜劇場『御上先生』では、複雑な家庭環境の高校生・東雲温役で話題を集めた。
「もちろん、まだまだ未熟ですから、撮影で大きな壁にぶつかることもあります。でも、壁にぶつかることができるのは、わたしが俳優というお仕事に出合えたからで、だったらどんなに大きな壁が立ちふさがっていても、決して逃げないようにしたいと思っています」