PTSD(心的外傷後ストレス障害)に苦しみ、壮絶な治療と向き合った渡邊渚さん。そんな彼女が笑顔を取り戻すまでの“奮闘”や、新たな“希望”、かなえたい“夢”など、これまでの、そして、これからの“人生の転機”、THE CHANGEについて、話をうかがった!(全5回/第3回)

「自分が受けたトラウマを言葉にして録音して…」
大好きなバレーボールをオリンピックの大舞台で観戦するため、フランスへと旅立った渡邊渚さん。PTSD(心的外傷後ストレス障害)に苦しんでいた彼女の目には、世界は当時、“モノクロ”に映っていたという。そして、パリの街で“奇跡”が起きる――。
――PTSDと向き合ううえで、快方へのきっかけのひとつとなったのは、持続エクスポージャー療法だったと聞いております。具体的には、どのよう療法なのでしょうか?
「持続エクスポージャー療法は、安全な環境の中で、あえてトラウマの記憶に触れることで不安や恐怖に触れて、トラウマを乗り越えていく治療法です。
週に一度、2時間ほどカウンセリングルームに行って、自分が受けたトラウマを言葉にして録音して、それを何度も聴き返すんです。最初は本当に辛くて、行きたくなかった。
でも、1回の治療費も安くはないので、“お金を払っているんだから行かなくちゃ”という気持ちで、なんとか続けることができました。
治療が終わった日の夜は、本当に心身ともに疲れて、うつ状態に戻ったように感じることもありました。でも、それを繰り返すうちに、少しずつ苦しみが和らいでいったように思います」
──そして、パリオリンピックがもうひとつのきっかけになったと、聞いております。