「“カラフルな国旗の色が、ちゃんと見える!”って」

「そうなんです。学生時代からバレーボールが大好きで、人生においても大きな存在…言っててしまえば、生き甲斐なんです。

  アナウンサー時代もバレーボールのお仕事をさせていただいていたので、そのときからパリオリンピックはどうしてもこの目で見たい、という強い思いがありました。

 結果的に、そのお仕事も途中でリタイアする形になってしまったので、私の中に大きな未練として残っていたんですね。そこでお医者様にも相談して、パリの地に降り立ちました。

──パリはいかがでしたか?

「街中がオリンピックムード一色で、青い空の下で、美しい建物と建物の間に、いろんな国の国旗が風になびいて、キラキラ光っていたんです。

 その風景を見た瞬間に、“やっと私は、青空を青空として捉えられたんだ”“カラフルな国旗の色が、ちゃんと見える!”って、涙が出るほど感動したんです。

 それまでモノクロに見えていた世界に、色が戻ってきた瞬間でした。そして、すべてが嫌になっていた世界とは違う世界が、こんなにも広がっているんだ、と。そのとき、ふと気持ちが切り替わったんです」

 自身の声で読み上げられるトラウマの内容を何度も繰り返し聞くことで、苦しみが薄れていったという渡邊さん。

 さらに、パリの地でフルカラーの世界を取り戻し、明るい未来への第一歩を踏み出した彼女だが、現在も毎年10月に、遺書を書いているという。なぜなのか?

渡邊渚(わたなべ・なぎさ)
1997年4月13日生まれ。新潟県出身。2020年、フジテレビにアナウンサーとして入社。2024年3月末に退社し、以降はフリーランスとしてエッセイ執筆やモデル業、バレーボール関連のMCやメンタルヘルスにまつわる講演など、さまざまな分野で活躍している。フォトエッセイ『透明を満たす』(講談社)、写真集『水平線』(集英社)が発売中。【起業家1年生渡邊渚とREALな社長 - モデルプレス×REAL VALUE】YouTube「REAL VALUE」公式アカウントで配信中!