「石坂浩二さんと“よーい、スタート”の1秒前まで」会話して…
遠慮して引っ込んでいるより、積極的に話しかけることで垣根を取り払うというのは、俳優に限らず、新しい集団に入るときに緊張しやすい人には参考になりそうだ。
「そうかもしれませんね。第一印象で“ちょっと苦手かな”と思う人に、あえて話しかけてみると、意外にもわかり合える部分があるかもしれない。でもそれは、話してみないとわからないので、ぼくも若いころは多少無理をしても頑張っていました」
──そのほうが、ご自身がフラットな状態でいられる?
「そうですね。ぼくは20代のころから、自分の個人的な感情に振り回されたくないと思うようになりました。たとえば、すごくハイテンションな演技をするときに、自分の感情がローなところにあったら、ハイまで持って行くのがきついな、と思うんです。逆に、悲しい演技をする直前に、自分がハイだったら下げるのが大変。だから、常に気持ちをフラットにしておくと、どちらにでももっていきやすいと思って」

撮影期間はプライベートも作品や役柄に影響されるという俳優もいるが、カメラが回っていないときは、フラットな状態にあるという。
「撮影の合間は共演者と雑談していたりするんですけど、以前、石坂浩二さんと“よーい、スタート”の1秒前まで、ずっと普通の話しをしていたときは、さすがに切り替えられませんでした(笑)。でも石坂さんは、頭のいい方だから一瞬でできるんです。すごいな、と思いましたね」