8月4日から上演されるミュージカル『ある男』に出演中の知念里奈さん。稽古中の控室にお邪魔して、公演直前の心境から、歌手として活躍した90年代のお話、プライベートのお話などなど、根掘り葉掘り聞かせてもらいました!【第1回/全2回】

知念里奈 撮影/小島愛子

――この取材直前まで熱心に打ち合わせしていましたが、お相手は共演のソニンさんでしたよね?

「はい、実は今回のミュージカル『ある男』は平野啓一郎さんの同名小説が原作で映画化もしていますが、ミュージカル化するのは初めてで」

――オリジナルのミュージカルを作るのって大変そう。先ほどスタッフさんから、「まだ作っては壊しの作業中」だと聞きました。

「そう! 本当に大変なんですよ。長い小説を2時間の演劇にするわけですから、すべては網羅できない中で、セリフの背景にあるもの一つ一つに凝縮して作っていかなきゃいけない。ソニンとも「どうやったら面白くなるか」という相談をしていたんです。もう時間もあまりないし、少しずつドキドキしてきてます(笑)」

――『ある男』は、亡き夫の身元がまったくの別人だったことを知った妻が弁護士に調査を依頼したことで、登場人物それぞれが“人間の本質”を掘り下げざるをえなくなる……という内容ですよね。一筋縄ではいかない感じがします。

「もともと私も原作を読んだり映画を観たりしていたので、“どうなるんだろう!?”と興味がありますね。

――浦井健治さん演じる弁護士の妻という役柄ですが、実際の知念さんご自身と共通する点はありますか?

「妻という立場は同じだけど、役としては離婚を考えていたりしているので、そこは真逆ですね(笑)。基本的に仕事と家庭でオンオフを切り替えるようにしてはいるんですが、この作品をやると決めてから、その人のラベルというか、国籍や性別を取っ払ったときに人間はどうなるのかっていうことを、役作りで常に考えています」