「山崎邦正」としてテレビのバラエティ番組で活躍していたヤマちゃんは、今、落語家「月亭方正」として活動を続け、その評価を高めている。落語の道を歩み出して17年。その転機となった瞬間は? 若手時代の苦悩とは? 芸人人生を振り返るその語り口は高座のように軽快だ。【第2回/全4回】

月亭方正 撮影/三浦龍司

 コンビで活動をスタート。『ABCお笑い新人グランプリ』など賞も獲り、順風満帆と思われたが解散。ピン芸人としての活動が始まる。徐々に自身のスタイルを確立し、バラエティ番組で活躍をするが、壁を感じるときがやってきたという。

「“スベリ芸”って実はめちゃくちゃ強いんですよ。スベることがないですから。だから岡田(圭右)くんとかたむけん(たむらけんじ)とか、(ダイアン)津田とかもそうなのかな。ああいう“スベリ芸”って、スベって笑いがとれるという、これ、日本だけのものじゃないですかね。

 日本はそれを笑ってくれる土壌がある。それだけの懐の大きさなのか、幅の広さなのか、そういうものを含んでるのが“スベり芸”なんですよね。でもね……その“スベリ芸”って、そこに甘んじてしまうんですよ。そこで仕事があるし、そこの席を用意されてるし、そこでお金ももらえるし(笑)。そこで“これだな”みたいな感じになっちゃうんです。完全に甘んじてしまう」