舞台以外の道を探り始めたときに出会った落語
目指すべき道が見えなくなりつつあったときに相談したのが同い年であり、芸人としては先輩の東野幸治さん。
「東野さんに相談したら、“落語、聞いたら?”って言うんですよ。“いや、それ東野さん、古典芸能はないですって”。“いや、(桂)枝雀さん、おもろいから聞いてみ?”と言われて。いやぁ……落語はちょっと……みたいな感じやったんですけど、先輩に言われたし、次会うたときに“聞いた?”と言われて“聞いてないです”とは言えないので、一応、という感じで桂枝雀さんのCDを聞いたんです。
そうしたら、その中に『高津の富』というネタがあるんですけど、“あれ?面白いやん”と惹きつけられたんですね。枕でまずちょっと引っかかって、これは……と。落語っておじいちゃん、おばあちゃんの聞くものちゃうの?って思いこんでたんですけど、ちゃうんやな、と。そこから興味がでて、枝雀漬けですよね。
CD聞いて、DVDは全部見て。これすごい芸能やなって。DVD観てたらやりたくなってくるじゃないですか。勝手に真似て覚えてやってみて。そうしたら、わかったんです。“あ、これ新喜劇や”って。全部一人でやる新喜劇。おばあちゃんもおじいちゃんも子どもも出てくる。泣きもある。新喜劇を一人でできるんだ、と気付いた時には“やったー!”って声出して言いましたね。本当に人生でやるべきこと見つかった!って」
まさに40歳を迎える頃。不惑のとき。ここからは落語にまい進する。

(つづく)
つきてい・ほうせい
1968年2月15日生、兵庫県西宮市出身。山崎邦正名義で1988年にGSX(ガスペケ)というコンビを結成しデビュー。その後、相方の芸能界引退を機にピン芸人として活動、テレビ番組『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』などに出演。2008年5月に月亭八方より「月亭方正」と名乗ることを許され高座に上がる。2012年より噺家としての活動に専念するため関西に拠点を移した。
(公演情報)
《東京》月亭方正落語会 月一方正噺
日時:2025年8月22日 (金)
開演:21:15
会場:新宿末廣亭
ゲスト: NON STYLE
《東京》月亭方正落語会 月一方正噺
日時:2025年9月12日 (金)
開演:21:15
会場:新宿末廣亭
ゲスト:ちょんまげラーメン