「そのときに賛成派と反対派、真っ二つぐらいに分かれたらしいです」

 で、師匠が“上方落語協会に月亭方正を協会員として迎えてくれ”と言いに行くんですね。そのときに賛成派と反対派、真っ二つぐらいに分かれたらしいです。反対派からは、そんなんタレントやったやつを急に入れてどうすんねん、みたいな。でも、裾野を広げてもらおう、という賛成の意見もあって。

 そのときに師匠がえらい戦って、“もし、方正がなんかしたら俺もやめるから。だから、入れたってくれ”と言ってくださったらしいんです。これをまた師匠からは聞かないんですよ。師匠はそういうことを自分から言われないんで。のちに、桂小文枝師匠から、“方正、あんとき大変やったんやぞ。実は師匠が戦ってくれて”みたいな話を聞いて。もう涙ボロボロ~、って流れましたよね。師匠はそういう方なんです。すべて生き方の背中を見せてもらってます」

 2013年からは芸名も「月亭方正」に一本化して落語の道に突き進む。

「テレビよりも一気に僕の魂が落語に行きましたね。落語をやるためにはどうしたらいいか、落語を皆さんに聞いていただくためにはどうしたらいいか、一本。だから、東京の番組も『ガキ』(『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』)以外は全部やめて、関西に拠点を戻しました」

月亭方正 撮影/三浦龍司