当時在学中だった大学の図書館で、世間への影響力を感じるできごとが
「『My Sweet Darlin’』も、メジャーデビューシングルを出した後に、スタッフさんから“次はどうする?”“次の武器になる楽曲を作ろう”と急かされつつ、さらに、10月に出す予定のアルバムも見据えながら作っていました。よくあのペースで、気力も体力も持ちこたえながら曲を書けたなと思いますし、当時はチーム全体もすごく熱気や活気があったから、その空気のなかでこそ書けた曲もあると思います。
だからこそ、ファーストアルバム『daiya-monde』の収録曲はどれも宝物ですが、『My Sweet Darlin’』ができたときも、いつもの制作の一環という感覚でしかなく“これはヒットしそう”みたいな予感は、全然なかったですね」

この名曲を作った当時、矢井田さんは現役の大学生でもあった。二足のわらじを履いていたため、さらに多忙を極めたに違いない。ゆえに、当時はヒットの実感がほとんどなかったそうだ。
「曲がじわじわヒットしていたときは、ちょうど卒業論文を書いていた時期と重なっていたので、自分の曲が世間でどう受け止められているかは全然知りようがなかったんです。ただ、大学の図書館で卒業論文を書いていたら、当時主流だった着メロから『My Sweet Darlin’』のサビが流れてきて、すごくびっくりしました。友達ではない全然知らない人だったので、“え、知らない人が、どうして私の曲を着メロにしてくれてるんだろう”と不思議に思ったのと同時に、“ああ、これが曲をリリースするっていうことなんだ”って、妙に実感したのを覚えています」