目まぐるしく変わる環境の中、感じていた心の葛藤

 ヒットした当時は、多くのメディアが彼女の挙動に注目した。そのなかには、彼女を傷つけるようなものもあったに違いない。負の感情を、ヤイコはどうやってコントロールしていたのだろう。

「学生時代に出会う人たちって、同年代のクラスメイトと、大人は先生くらいですよね。でも、音楽活動を始め、デビューが見えてくるようになると、ものすごい数と種類の大人たちに会うようになりました。そのなかには優しい人ばかりではなく、わざと意地悪な言葉をぶつけてくる人もいましたね。インタビューで、女性シンガーソングライターに対してあえて怒らせるような質問をして、その反応を見ようとする人もいました。若かったし、未熟だったから“誤解されたくない”“なめられたくない”みたいな気持ちが芽生えたんです。
 つまり、まんまと相手の作戦に乗ってしまったんです。ちょっと語気が荒くなったりとか“そんなことない!”って、過剰に反論したりすると、そこだけを切り取られて書かれてしまったりして……。余計に大人への不信感を募らせてしまいました。
 いまとなっては“凪の心”で対応できるようになりました。仮に、誤解されるような書かれ方をしたとしても、“まあ、いいや”と、流せるようになったんです。いろいろなことを経験してきたからこそ、気持ちに余裕が持てるようになったんでしょうね」

 まばゆいような笑顔を見せながら語る矢井田さんからは、いまの充実ぶりが伝わってきた。次回は、人生で迎えたピンチをどう切り抜けてきたかについて語っていただくつもりだ。

矢井田 瞳 撮影/冨田望

やいだ・ひとみ
1978年7月28日生まれ、大阪府出身。2000年『Howling』でインディーズデビュー。同年7月にメジャーデビューシングル『B’coz I Love You』をリリース。続く2ndシングル『My Sweet Darlin’』が大ヒット。独特の歌声とメロディセンスで一躍注目を集め、同曲はロングヒットを記録。その後も『Look Back Again』『Ring my bell』などヒット曲を多数発表し、シンガーソングライターとしての地位を確立。プライベートでは一児の母となった後も精力的に音楽活動を続けており、ライブ活動やコラボレーション、書籍出版など、多彩な表現に挑戦している。近年はアコースティック編成でのライブや、原点回帰ともいえるセルフプロデュースアルバムのリリースなど、キャリア20年以上を経てなお進化を続けている。

13thアルバム『DOORS』
2025年8月20日(水)リリース
CDご予約/ご購入はこちら:https://lit.link/yaiko_doors
■初回限定盤(2DISCS:CD+DVD) COZP-2192/3 4,950円(税込)|特典DVD付
■通常盤(CD)COCP-42519 3,300円(税込) 
■CMS限定盤 (「DOORS」初回限定盤 CD+DVD+Tシャツ) 8,950円(税込)
(「DOORS」 通常盤CD+Tシャツ) 7,300円(税込)     
*サイズ展開:M・L・XL・XXL(数量限定)

【初回特典(CD+DVD 初回限定盤)】
*矢井田 瞳弾き語りライブ「GUITAR TO UTA」特別編となるスタジオライブ映像を収録した特典DVD付                        
収録曲 (初回限定盤/通常盤/CMS限定盤 共通)全10曲収録

<CD>
1.嘘 〜DOORS ver.〜 *7/12 配信シングル・アルバムリード曲 
2.アイノロイ *テレビ朝日系木曜ドラマ『ゆりあ先生の赤い糸』主題歌 
3.sigh sigh sigh 
4.砂のケーキ
5.やってられへんわ 
6.Mirror
7.Singing all day
8.クジラの胃
9.星空のクリスマス
10.Heaven

<DVD(初回限定盤のみ)> 全5曲収録
「GUITAR TO UTA 〜room edition〜」
1.手と涙
2.Over The Distance
3.Life's like a love song
4.駒沢公園
5.わたしの欲しいもの feat. 中田 裕二 *中田 裕二カバー

【矢井田 瞳デビュー25周年特設サイト】
https://columbia.jp/yaidahitomi/25th/