平成の歌姫、華原朋美さん。世間にさまざまな影響を与えた一方で、その芸能生活は波乱万丈でもあった。ただ、どんなことがあってもデビューから変わらなかったのは、聴く者の心を揺さぶる類まれなその歌声。今年、デビュー30周年を迎える華原朋美さんの、THE CHANGEとは。【第3回/全4回】

「あらあ、じょうずねー」
小さな男の子が、撮影中の華原朋美さんに自分が書いた昆虫のイラストを見せる。それまでカメラに向けていたクールなまなざしから一転した柔らかな視線と、優しい声色で語りかける。この日は朝からラジオ収録があり、その後1日中取材が入っているという華原さんは、5歳の息子さんをともなっていた。「スタッフの方々の負担になってしまう」と、真剣な表情でシッターさんに電話をかける場面も。
多くのワーキングマザーは、育児と仕事の両立にやりがいや楽しみを見出しながらも苦心しているが、華原さんもそんな母親のひとりだった。電話を切り、「ひとりで調整して、シッター代が必要で、私、何のために働いているのかなって思うとき、ありますよね」と笑う。
「やっぱり息子が生まれたことは、人生の中の一番大きな転機ですね」