当時を振り返り、いま、伝えたいこととは
4月に復帰したものの、過食嘔吐(おうと)をくり返すなど精神的に不安定で、年末から2度目の休養に入る。
「わたしは、自分が病気だということを認めたくなくて、結果的に悪化させてしまいました。こんなわたしからみなさんに言いたいのは、“メンタルがちょっとおかしいな”と思ったら、信頼している人……家族だったり、親友だったりに打ち明けてほしいです。もし、逆に近い人には言いにくかったら、心療内科を受診するといいと思います」
日本ではまだ心療内科のハードルは高いが……。
「わたしも最初は抵抗がありました。でも、行ってみたら全然恐くなかった(笑)。心が弱っているときほど、誰かに助けを求めるのを躊躇(ちゅうちょ)しちゃうし、まわりに迷惑や心配をかけたくないって思っちゃうけど、思い切ってSOSを出したほうがいいです。人や世間は、自分が思っている何倍も優しいから」
2年半の治療と休養を経てうつを卒業した兒玉遥が選んだ道は、アイドルの卒業と、俳優としてふたたび芸能界に戻ることだった。
(つづく)

こだま・はるか
1996年9月19日生まれ。福岡県出身。2011年7月10日、HKT48の第1期生オーディションに合格し、メンバーとして活動開始。センターポジションも務め、16年には第8回AKB48選抜総選挙で、自身最高となる第9位に。2019年6月にHKT48を卒業し、現在は俳優として活動しており、主な出演作は、映画『空のない世界から』(22)、『僕らはみーんな生きている』(22)、『渚に咲く花』(22)、『岡本万太』(25)、連続テレビ小説『おむすび』(NHK)、舞台『フラガール』(22)、『夜曲〜ノクターン〜』(23)など。
公式サイト:https://kodama-haruka.com
『1割の不死蝶 うつを卒業した元アイドルの730日』
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定価:1,760円(本体1,600円+税)