共感というより、もっと自分の心にグサってくる感じ
「共感……なんだとは思います。でも、共感というより、もっと自分の心にグサってくる、刺さる感じですかね。だから、すごく気持ち良くは読めなかったんです。“うわ~なるほどな~”って暗い感じです(笑)」
海老原勝男は実家が大分で、典型的な九州男児という設定である。しかし、竹内さんはその捉え方に一石を投じる。
「でも、僕は典型的とはあまり思わなかったです。勝男の父親がわかりやすく言うと亭主関白って呼ばれるのかもしれないですけど、それはその人の人間性であって、そこの家で育ったのだから少なからず勝男にもそういう部分は入っている」
父親がそうだから息子も同じ、という単純な話ではないと彼は続ける。
「自分の家風だったり家族から受け継いでいるモノ──自分が当たり前だとか大体においてこうでしょって思っているモノを勝男は持っているって捉えているんです」
特に、勝男は料理に関して口うるさい一面を持つ。
「そうですね。ただ彼の立場からするとうるさくしているつもりはないんです。好きなんですよ、料理が。たぶん、味が好きなんでしょうね。だから気になるんだと思うんです」
好きなことには誰しもこだわりがあるはず。勝男の言動もそれと同じだと竹内さんは分析する。
「だから、演じる上で大事にしているのは、料理に関していちいちうるさい奴だと僕が捉えてしまうと、うるさい奴を演じることになるじゃないですか。そうなると見て下さる人たちは誰もが応援できないですよね。だから、勝男はこうなったらもっと良くなる、美味くなるって言っているだけなんです。それが九州男児で亭主関白に見えるのかもしれないです」
そんな勝男だが、実は涙もろいという意外な面もある。しかし、この点についても竹内さんの解釈はユニークである。