我慢していても感情が漏れちゃっている姿が面白い

「僕は涙もろくはないと捉えています。自分で、“俺、涙もろいんだよね”って言うのってすごく恥ずかしい気がしますし。泣きたいって言って泣く人ってちょっと変わったヤツじゃないですか(笑)」

 彼が思う「感情豊か」とは、泣きたくないのに涙が出てしまうこと。だからこそ、常に涙に逆らい続けていると語る。

「それが面白いコメディだと思うんです。我慢しないで、ずっと発散している人は面白いとは思わないんです。我慢していても、そこから感情が漏れちゃっている姿が面白いと僕は思っていて」

 第1話では、筑前煮が上手く作れず、使った包丁を捨ててしまうという衝撃的なシーンがある。一見すると潔い行動にも思えるが……。

「勝男って人生で初めて台所に立って料理して上手くいかなかったことに対してすごく悔しい思いがあるんです。鮎美とはずっと一緒に暮らしきて、そこで2人のルールも出来てうまくいっていると思っていたから、失敗が怖いんです」

 包丁は、彼にとって自分を脅かし、弱い部分を突きつける存在。だから捨ててしまうのだと。

「だから潔いのではなくいさぎ悪いんです。悔しいんですよね、自分の負けを認めたくないから。プライドが高いんでしょうね」

 そんな勝男を取り巻く共演者たちも、本作の大きな見どころだ。恋人・鮎美を演じるのは夏帆。竹内さんにとっては特別な存在だったようだ。