ある意味天国でしたが、地獄でもありました

 デビュー当初は形態模写専門で、ちあきなおみさんや、岩崎宏美さんの顔まねをしていました。ところが、ラジオに出たときに、聴いている人に何も伝わらないことを痛感して、声帯模写に取り組んでいきます。

コロッケ 撮影/角田忠良

『ものまね王座決定戦』(フジテレビ系)に出たのは、声帯模写のネタをたくさんつくってからですね。清水アキラさん、ビジーフォーさん、栗田貫一さんと僕は“ものまね四天王”と呼ばれるようになります。

 時代が動いている感覚がありましたね。視聴率は平均で33%を超え、瞬間で40%を超えたときもありましたから。

 あの番組に出ていた4〜5年は、ある意味天国でしたが、地獄でもありました。トーナメント形式なので、1回で4ネタを作る必要があります。3か月に1度の放送なので年に16ネタですよ、今、1年で16個もネタを作る芸人なんていません。

『ものまね王座』のお正月特番で、僕が美川憲一さんのまねをして「さそり座の女」を歌ったときのことは、忘れられません。お客さんが沸いているのですが、見ている方向が違うんです。明らかに空気がおかしい。そうしたら、本物の美川さんが後ろから降りてきたんです。美川さんとの共演はそれが初めてでした。

 歌い終わって、司会者に「どうですか?」 と聞かれた美川さんは、 「似てないわよ」。これでスタジオ中が大笑いですよ。そこから美川ブームのようになるんです。『タンスにゴン』のCMでは、ちあきなおみさんと美川さんが共演。僕にとっては最高にオイシイ展開でした。

コロッケ(ころっけ)
1960年3月13日、熊本県出身。80年『お笑いスター誕生!!』(日本テレビ系)で注目され、『ものまね王座決定戦』(フジテレビ系)でブレイクする。2014年に文化庁長官表彰、16年に第16回ビートたけしのエンターテインメント賞 日本芸能大賞を受賞。熊本の農業支援や子供食堂への支援など多岐にわたるボランティア「火の国プロジェクト」を立ち上げ、社会貢献活動にも力を入れる。また、「警察庁 特別防犯支援官」を務め、詐欺撲滅運動や、刑務所への慰問も行う。

『大逆転!戦国武将誉賑』
2023年の大好評舞台の第2弾。明治座公演は10月19日まで。11月8日~24日には大阪・新歌舞伎座でも上演。また、好評を受け、来年正月には同じく明治座にて『松平健×コロッケ45周年特別公演』が決定!