芸歴半世紀以上、俳優・柄本明の人生は、幼いころから演劇で彩られてきた。映画に憧れ、劇団を立ち上げ、いまもエンタメの第一線で活動し続けるとともに、下北沢に根を張って芝居を続ける。柄本明の人生をつくってきたTHE CHANGEとは――。【第4回/全4回】

「自分がなんでこういう風になって、今ここにいるか。皆わからないよね。それを考えるのが哲学なのかもしれないけど。あるいは、この一秒一秒が転機ですよね。人間って、ものすごい可能性を持っていて、もしかしたら20秒後、私はあなたを殺すかもしれない。確かに、“今村昌平さんの『カンゾー先生』で三國連太郎さんが倒れられて、僕が代役で(主演を)やらせていただきました”みたいなことも、転機という言い方ができるけど、常に未来はわからないから。毎日が転機ですよ」
わからない、予測できないことが人生。柄本の人生観はこのように明快だ。映画に憧れて俳優を志し、劇団を作って芝居を続けて半世紀。家族が自分と同じ道を選んだことにも「そういうことになっちゃったんだよね」と笑う。