『踊る大捜査線』シリーズで柏木雪乃役を好演

「唐沢さんはとても優しく真摯な方でした。当時、唐沢さんが何かの雑誌の取材でフライドチキンが好きだと話したら、“どの現場に行ってもフライドチキンが差し入れられるんだ(笑)”とおっしゃっていたのを覚えています」

 その後、日本のドラマ史上に残る大ヒットとなった『踊る大捜査線』シリーズ(1997年~)に出演。テレビシリーズから劇場版まで柏木雪乃役を好演し人気を博した。そんななか、着実に俳優としてのキャリアを重ねていた30歳になるタイミングで、「何かをしなきゃいけない」という思いに駆られたという。

「働く女性ってみんな30歳ぐらいで一旦立ち止まって考えるみたいです。このまま今のキャリアを進むのか別の道を選ぶのか。20代後半から30歳になるあたりで、結婚のこととか考える時期なんですよね。ちょっと世界的な話になってしまうんですけど、調べたら、そう悩む女性が多いみたいで私もご多分に漏れず……という感じでした」

 そして2005年に個人事務所を立ち上げ、2007年には演劇ユニット「プロペラ犬」を創設した。

「“舞台をやりたい”という熱が高まっていったんです。それまで、舞台には1、2本くらい出たことがあったくらいで、本格的に舞台に出演したことがないことに気付いたんですね。役者の仕事というのは受け身な部分が多かったですし、自分から発信するということを始めたくなったんです。0から1を作ってくという。それで自分でプロデュースしてやるようになりました」

 旗上げ当初は出演のみだったが、徐々に脚本や演出も手掛けるようになり、第7回公演『珍渦虫』(2016年)と第8回公演『僕だけが正常な世界』(2022年)では、水野さん自ら作・演出を手掛けた。

 そして今年3月、水野さんは「オールアウトチャレンジ」という会社を立ち上げた。