映画界、ドラマ界で欠かせない存在となっている井浦新さん。『ARATA』名義でモデルとしてスタートした日々からブレずに意識していることは、俳優活動の中で共演者との出会いによって生まれたものだという。そして、今回Amazonオーディブル(以下、Audible)で村上春樹作品の朗読に挑むにあたり、新たに感じたこととは――。インタビューに対し、丁寧に選び抜かれた言葉から、その熱い思いがこぼれる。【第2回/全3回】
 
    声だけで表現するAudibleの世界に初挑戦した井浦さん。今回の挑戦で改めて感じたことは多かったという。
「お芝居をするうえで声というのは、ふだんから人物を作っていくなかでとても大事なポイントだと思っているんですけど、今回のように見た目の部分なしに声だけで演じ分けていくと、自分の声のレパートリーの幅が見えてくるんだな、というのを感じました。
今回は登場人物が多くはないですけど、新しい人物が出てくるたびに何が生まれてくるのか、ワクワクしながら収録しました。今年の夏に収録したんですけど、毎日録音スタジオに通いながら、気分としては部活に通う感じでした(笑)。収録を連日続けることで、自分の弱点、例えば苦手な音や滑舌の問題点なども明確になって、とても貴重な時間だったと思っています」
