大事にしたこと「感じたことをちゃんと言葉にして、わからないことはちゃんと聞く」
「あれは、美術が好きだという気持ちだけはずっとブレずに燃やしていこうって思っていました。あとは視聴者みなさんの代表として、専門家さんにお話をうかがうなかで、わからないことはわからないし、わからないことをわかったようにして伝えるのは一番罪だなと思ってましたので、そこは大事にしてました。
 
あと、知識を伝えるんじゃなくて、一人の人間がこの作品を見たときにこう感じたんだ、という、感じたものをちゃんと伝えることをまっすぐにやりたいな、と。そんな思いで5年間やらせていただいて。僕自身、すごく学びの多い番組でした。美術に特化させて自分が感じたことを言葉にしていく。いつもは美術館に行ったら、“わー、これはすごいな”と心の中で思って完結させていることをちゃんと言葉にして、なおさらそれを専門家の皆さんが目の前にいらっしゃるので、質問もしていくということをやらせてもらったことで、自分にとってのものを見るときの一つのスタイルができた気がするんです。
たとえば、美術じゃなくても、映画だったり、旅だったり、農業だったり。どんなものにでも感じたことをまず素直に言葉にする。感じたことをちゃんと言葉にして、わからないことはちゃんと聞くというのは、一つの自分自身のあり方みたいなものとしてトレーニングさせてもらえた時間でもあったと思っていて、その後の自分に生きています」
いうら・あらた
1974年東京都生まれ。1998年、映画「ワンダフルライフ」に初主演。以降、映画を中⼼にドラマ、ナレーションなど幅広く活動。最近の出演作品は大河ドラマ『光る君へ』(NHK)、『最愛』(TBS)、『無能の鷹』(テレビ朝日)、『DOPE 麻薬取締部特捜課』(TBS)、映画『ラストマイル』(2024)、『岸辺露伴は動かない 懺悔室』(2025)などがある。アパレルブランド〈ELNEST CREATIVE ACTIVITY〉ディレクター。サステナブル・コスメブランド〈Kruhi〉のファウンダー。映画館を応援する「MINI THEATER PARK」と、活動は多岐にわたる。
【作品情報】
タイトル:『街とその不確かな壁』 
著 者:村上春樹 
ナレーター:井浦新 
配信日:2025年10月21日(上巻)
