クリエイティブな才能の萌芽は…

――浜田雅功さんがMCを務めているバラエティ番組『プレバト!!』(毎日放送)でも、俳句や消しゴムはんこ、スプレーアートなど多くのコーナーで才能を見せていて、本当にすごいです。クリエイティブなことは、小さなころからされていたのでしょうか。

「うちの父親が設計士なんですけど、たとえば壁に落書きをするといったことに、非常に寛容というか、むしろ自分の血を感じて嬉しいのか“ヨシヨシ”という感じでした。せいじにはそうしたことはまったくなかったこともあって、余計にオレが絵を描いたりするのは好きだったようで。ほんまに自由に壁に落書きしたりしていましたね。引きこもっていた時期も、 何か描いたりしていました」

――その時間は、さきほどおっしゃっていた「暗黒」からは解放されていたのでしょうか。

「苦痛から解放されるために描いていた感じです。現実逃避というか、集中して寝ずに描いていました」

――『プレバト!!』でも10何時間かけて作品を完成させたりしていますが、ジュニアさんにとっては、途中でやめるほうが辛いのでしょうか。

「ペンを取り上げられるほうが苦痛です。だから『プレバト!!』のときでも、途中はご飯も食べないし、集中しています。スタッフは“このあと、千原ジュニアや、長いで”と、うっとうしいでしょうけどね。ひょっとしたら、引きこもっていたその時期に、勝手に鍛えられた集中力があるのかもしれませんね」

 いっときは「暗黒の中に入ってきてしまった」と感じたこともあるというジュニアさん。それを自分で船の舵を切って方向を決め、いまの人生へと繋げてきたのだ。

(つづく)

千原ジュニア(ちはら・じゅにあ)
1974年3月30日、京都府生まれ。1989年に吉本興業の大阪NSCに8期生として入所し、実兄の千原せいじとお笑いコンビ、千原兄弟を結成する。96年より東京に進出。2001年にはオートバイ事故に遭うも復帰を果たす。バラエティ番組のみならず、ジャンルを問わない活躍を見せている才人。俳優としては97年に映画『岸和田少年愚連隊 血煙り純情篇』で主演デビューし、『HYSTERIC』(00)で第10回日本映画プロフェッショナル大賞主演男優賞を受賞した。最新出演作は、『ポルノスター』(98)、『アンチェイン』(01)、『ナイン・ソウルズ』(03)でも組んだ豊田利晃監督作『次元を超える TRANSCENDING DIMENSIONS』。

●作品情報
『次元を超える TRANSCENDING DIMENSIONS』
監督・脚本・エグゼクティブプロデューサー:豊田利晃
エンディングテーマ:The Birthday
出演:窪塚洋介、松田龍平、千原ジュニア、芋生悠、渋川清彦、東出昌大板尾創路、(声の出演)窪塚愛流
製作:豊田組
配給:スターサンズ