『ミッション』の意味「それを“黒歴史”として、辛い思い出として残しておくのが嫌」

――生活観の違いを受け入れることから始まったと。

「ニューヨークは、普通に生活しているだけでもすごくエネルギーを使う街です。その街で、みな自分の育ってきた国や民族というか、アイデンティティに誇りを持って生きているんだなとわかってきて。それが格好よく見えてきて、ひるがえって本当の私って、どんなだろう?と思って、自分をさらけ出してみました。でも誰も何も言わないんです」

――自分をさらけ出してみた、とは?

「若い頃から人前に出るうえで、“格好良くならなきゃ”“優等生でいなきゃ”って思っていました。でもニューヨークでは誰も気にしないし、みな私のことをジャッジしないんです。“何を気にしてたんだろう”って思うと同時に、格好悪いところも含めて私なんだなって、自分を愛せるようになりました。それに、人のことをジャッジする必要もないんだなと思いました」

 ニューヨークでの鮮烈な経験で、より自由に生きられるようになったソニン。価値観の違いに衝撃を受けても思考を切り替えられたのには、彼女自身の“もともとのマインド”が影響していたという。

「どんな嫌なことや試練があっても、それを“黒歴史”として、乗り越えられなかった辛い思い出として残しておくのが嫌なんです。25周年のコンサートのタイトルに『ミッション』を入れたのも、すべての経験には意味があると思っているからです。試練をクリアして、あれもいい経験だったよねって無理やりにでもポジティブに振り返るものにしたい、という思いはありますね」