人生を変えた小林直己からの1本の電話「オーディションを受けてみないか」

 ダンスがやりたくて、この世界に入った――――正確にいうと、彼はダンスが大好きなだけで、芸能界に入るつもりはまったくなかった。

「高校生のときからダンスが好きで、大学でもずっと踊っていましたが、学生生活を終えたら就活をして、一般企業に就職する将来しか思い描いていませんでした。芸能界にはほとんど興味がなかったけど、EXILEだけは好きでよく聴いていたし、カラオケで歌ったりしていました」

 慶應義塾大学4年生のときにかかってきた1本の電話が、岩田剛典の人生を大きく動かす。

「先輩ダンサーで、EXILEのパフォーマーだった小林直己から『今、テレビ番組で、新しいグループのボーカルオーディションをやってるんだけど、パフォーマーオーディションがあるんだよ。受けてみないか?』という電話がかかってきたんです」

 『CDTVスペシャル!年越しプレミアムライブ2009→2010』(TBS系)で大々的に告知された、EXILEの弟分グループのボーカルオーディションは、約3万人の応募があり、オーディションの様子はテレビ番組『週刊EXILE』(TBS系)で放送されていた。そのグループのパフォーマーを番組抜きで探しているというのである。

このとき、岩田はすでに大手企業の内定を得ていたが、大好きなダンス、大好きなEXILEにつながるオーディションを受けないという選択肢は思いつかなかった。

岩田剛典 撮影/北浦敦子 ヘアメイク/下川真矢 スタイリスト/渡辺康裕