プロ野球の監督を務めた父とプロゴルファーの妹を持つ俳優の工藤阿須加さん。自身もかつてはテニスに情熱を注ぎ、アスリート環境で育ってきた。2012年に俳優としてデビューし、最新映画『てっぺんの向こうにあなたがいる』や放映中のドラマ『良いこと悪いこと』(日本テレビ系)にも出演中だが、近年は農業家としての活動を積極的に行っている。そんな工藤さん自身の、これまでの人生におけるいくつものCHANGEとなる出来事を聞いてみた。【第1回/全3回】
女性初のエベレスト登頂(1975年)をはじめ、世界七大陸最高峰を制覇した実在の登山家・田部井淳子さんの偉業をもとに、家族や人生の選択についてを描いた作品『てっぺんの向こうにあなたがいる』。劇中での名前は多部純子に変更され、吉永小百合が演じる。そして、純子を献身的に支える夫・正明を佐藤浩市が演じ、正明の青年期を演じるのが工藤阿須加さんだ。
「実在する方を演じささせていただくので、その方が歩んできた道を自分が歩んだように感じ取り、落とし込んで、その映画の中で生きなければいけない……という部分で、やはりプレッシャーを感じました。いまも御存命なので、実際に映画を観てくださった時になんて思われるのか正直、ドキドキで怖さもありました」
演じた正明の若かりし頃とは、すなわち佐藤浩市の若かりし頃、ということになる。
「佐藤さんの撮影されてる姿を勉強させていただきたく1日だけでしたが、見学に行きました。佐藤さんに“役を落とし込むのにどういうところに気を付けているんですか”とお聞きしたら、 “工藤君は工藤君なりにやれば良いよ。僕を真似する必要性はない、20代、30代から70代。40年間で人間って正直変わるし、違って当たり前”だと仰っていたたきました。肩の力が抜けて僕なりに仕草など意識してできたのかなと思います」
セリフの言い回しで、後半の部分はちょっと早口っぽい感じにするなど、自分なりに考えて演じたというが、自身の出演シーンがない時でも、佐藤さんの動きを習得するために撮影現場を訪れたことがあったという。