北山宏光と渡辺大――同世代であり、ともに若い頃より表舞台に立ってきた2人の俳優が、昭和の名匠と名優が残した大作で舞台に立つ。その名作『醉いどれ天使』に込めた2人のプライドと、本当の友人のようにリスペクトし合える仲、そしてそれぞれの人生の中のTHE CHANGEを聞いた。【第1回/全4回】

北山宏光・渡辺大 撮影/有坂政晴

 黒澤明と三船敏郎が初めてタッグを組んだ1948年の映画『醉いどれ天使』は、闇市のやくざと貧乏医師を軸に、戦後混乱期に生きる人々のエネルギーを描いた作品。2021年の舞台化を経て、25年舞台版として新たなスタッフ・キャストで上演する。

 映画で三船敏郎が演じた闇市に生きるやくざ・松永を北山が、志村喬が演じた口は悪くも優しい医師・真田を渡辺が演じる。松永と真田の出会いは、松永の銃創を真田が手当てしたところから始まる。混沌とした時代に生きる男たちに、2人はどんな印象を抱いたのだろうか。

――まずは、この映画をご覧になった時の印象からお聞かせいただけますか?

北山「ものすごく骨太な作品でした。余計なこねくり回しがなくて、映像の力がすごいんです。ストレートなセリフの投げ合いがあって、今観てもものすごい撮り方をしているな、と思います。“画力”がすごいです」