もしも自分が戦後間もない時代を生きていたら…?
――もしもお2人がこの『醉いどれ天使』の時代に生きていたら、どうなっていたと思いますか?
北山「難しいですね……正直生きていられるかどうか分からないですね」
渡辺「僕も生きているかどうか、分からない。今41歳だから、寿命の短い当時だと、今でいう60歳くらいの感覚ですよね。ただ思うのは、当時と比べて今の僕らは頭でっかちになりすぎているのかも。
情報量が多すぎて、勝手に自分で“ダメかも”って思って諦めてしまったり。分からないところに希望を見出して、痛みに耐えながら生きていくのがあの頃には必要だったと思うんです」
北山「環境も今よりずっと大変ですからね。簡単には死ねないし、本当に過去に生きたことはないから、俺だって松永に共感できるか分からないけど、彼らが感じたであろう“心の穴”をリスペクトして演じたいです」
渡辺「僕は映画『 男たちの大和/YAMATO』(2005年)などにも出させていただきましたが、戦争映画は人の心とか生き様を綺麗に見せようとすることが多い。でも『醉いどれ天使』は全く逆で、傷だらけのものをありのままにさらけ出すところに意味があります。そこがすごく人間くさくて、この物語の好きなところです」