今の自分を、ちゃんと脱ぎ捨てることが、私にとっての「変わる」でした

ーー1文字抜けていたりしたら……。

「あるあるです。以前、個展のために「千字文」という長詩を抜粋して書いたことがあるんですが、何度も何度も書いて、一番いいものを個展会場に飾ったら、1文字足りてなかったなんてことがありました。そのときはもう、天を仰ぎましたよ(笑)」

ーーストイックすぎる世界……。おしのさんが書道家に転身したことについて、ファンの人の反応は?

「最初は驚かれることもありましたが、今では個展のたびに顔を見せてくれる方もたくさんいて、オフ会ではお酒を飲みながら作品のお話をしたりと、「一緒に楽しんでくださっているんだ」と実感できて、とても嬉しくなります」

ーー一方で、俳優業も続けています。俳優とグラビアを両立しない理由があったんでしょうか。

「グラビアアイドル・忍野さらの延長線上に、役者としての未来はないと思ったからです。だから一度、今の自分を、ちゃんと脱ぎ捨てることが、私にとっての「変わる」でした。「進化」はそれから積み重ねていこうと。それがなければ、書道もやってなかったと思います」

ーートップグラビアアイドルがパッと辞めるのって、すごい勇気だと思います。

「思い残すことも特にないくらい、たくさん経験したので。グラビアは、すっかり“前世の仕事”くらいになってました! 自分自身が変化したら居場所やスタンスも同時に変えていくのは自然なことですよね。
 今年は三十路という節目で、また少し撮影する機会がありましたが、とても緩やかなモチベーションでやらせていただきましたよ」

ーー今年9月に発売されたデジタル写真集(*)ですね。美しくて刺激的で最高でした。まったくブランクを感じさせませんでしたが、どんな準備をしましたか?

*『失楽園‐shadow eden‐ FRIDAYデジタル写真集』 2021年にグラビアアイドル“忍野さら”を卒業した“おしの沙羅”が、30歳のメモリアルイヤーにグラビアへ復帰!

「ありがとうございます。準備は食事を調整して運動量を増やしました。お料理が好きなのでヘルシーなものを作ったり、シンプルなものだと茹でた大根を、よく食べますよ。運動は皇居ランが好きです。ジムは苦手なんです」

(つづく)

おしの沙羅(おしの・さら)
1995年6月3日生まれ。東京都出身。2016年、現役女子大生グラビアアイドル「忍野さら」としてデビューすると、たちまちブレイク。書籍やDVD、バラエティ番組などで幅広く活躍した。20年からは俳優業をメインとする。23年には「おしの沙羅」に改名。あわせて、雅号「雨楽(うら)」として書家としても活動を開始、精力的に個展などで作品を発表している。