アメリカでのチケットはどこもソールドアウト!
「今年は8人の元力士を連れて、9月下旬から11月いっぱい、シカゴやフェニックスなど5ヵ所でショーをやるんだけど、おかげさまで、どこもチケットがソールドアウトなんですよ(笑)。
日本では相撲をはじめ、野球、サッカーなど、プロフェッショナルを見せるスポーツがあるけど、その観戦料はすごく安いと思う。『スポーツのプロ』は他のことはできないし、競技を見せて収入を得ているんだから、もっとリスペクトしなくちゃね」

小錦さんは、力士の給料に関しても指摘を続ける。
「特に力士の給料は、すごく安いよね。今、十両の力士で100万円くらいで、幕内でも150万円いかないでしょ? 横綱だって、給料自体は300万円ほどだから、『夢』がないよね。僕が大関時代は、90万円くらいだった。正装用の紋付だって100万円はするんだから、タニマチの存在がどんなに助けになったことか……」
今は、以前より懸賞金が多くかかるようになったので、懸賞金による力士の収入は増えたものの、懸賞金が大量にかかる力士は、横綱、大関など一部の力士に限られている。
「今の関取衆は、だいたい小学生の頃から相撲をやってきて、そこから中学、高校の相撲部に進んでいくわけだけど、それも全部商売。指導者と学校サイドがタッグを組んでいて、その後、どこの大学に行くか、どこの部屋に行くかも決まっているんだから……。やっぱり野球みたいにドラフト制にしないと、大相撲の世界はヒドイことになると思う。サッカーのほうが、まだ夢があるんじゃない?」
と、現行の入門制度に問題を提起する小錦さん。今は、ハワイ出身、元横綱・武蔵丸が師匠を務める武蔵川部屋のコーチ役として、若手力士たちにアドバイスを送っていることもあって、その視点は的確だ。
還暦を迎えてもなお、パワフルに活動する小錦さんだが、昨年は生命にかかわる出来事があった。