「考える間もなく気づいたら入塾していました(笑)」

――そこからご自身で無名塾の門を叩いて見事、入塾されました。

「高校3年生で進路を決める時期だったので、演劇を作るお仕事ってどうやって携わることができるのか聞いてみようと、プログラムに書いてあった番号に電話してみたんです。すると、ちょうど1年に1度の入塾審査が翌月で、受験生だと思われて“履歴書を速達で送ってください”と言われまして。言われるがままに送ったことがきっかけになって、考える間もなく気づいたら入塾していました(笑)。でも、それが本当に大きなCHANGEになりました」

――実際に飛び込んでみていかがでしたか。

「やはり仲代さんと、宮崎(恭子)さんとの出会いが大きかったです。本当にお父さん、お母さんのように育てていただきました。仲代さんはご自身がすごくストイックでその背中を見せていただきました。宮崎さんはものすごく客観性があって、俯瞰して物事を見ることができる方なので、私のようなど素人の女の子にも、10年後、20年後を見据えながら、今どんなアドバイスをすればいいかが分かっている方でした」

※宮崎恭子・・・1931年~1996年。演出家(演出家としては隆巴〈読み・りゅうともえ〉の名で活動)、俳優、脚本家。俳優養成所・無名塾の創設者であり、仲代達矢の妻。

――今も心に留めているアドバイスを教えてください。

「たくさんありますが、1年生の最初の時点で言っていただいた“麻由美は心配しなくて大丈夫だから。とにかく思い切ってやりなさい”という言葉がそのひとつです。私は、すごく自分に自信が持てないタイプでした。自分を疑って、どうしても萎縮してしまうところがあったんです。