ユニコーン、そして電大のギタリスト・手島いさむ。1987年のデビューからこれまで、プロとして音楽を奏でてきた男の「THE CHANGE」とはなんだったのか?

手島いさむ 撮影/弦巻勝
手島いさむ 撮影/弦巻勝

【全2回のうち第2回】

 教務課の先生に退学届けを出した日のことは、今でも鮮明に覚えていますよ。でも、これは覚えてなかったんですけど、そのとき「東京に行って音楽をやります」と、先生に告げていたみたいです。プロでデビューせざるをえない状況に、自分を追い込んだわけですね。

 そして川西さんと、プロとしてデビューできるバンドを作ろうと動き始めました。二人でアイディアを出し合いながら、テレビゲームみたいに一人一人、メンバーを集めていったんですね。その中で、ベースはサークルの後輩だったEBIに決まりました。

 バンドってデビューするのも大変ですけど、食っていくのはもっと大変です。とにかく売れなきゃいけないですから。

 プロでデビューするためには何が必要なのか。何より、デビューしてから売れるにはどうすればいいのか――。

 僕はライブハウスでたくさんのバンドの成功や失敗を見ながら、“バンドのビジネスモデル”をずっと考えていました。

 当時、ライブハウスを飛び出して、ホールクラスの大勢のお客さんを集めていたのは、自分たちで詞や曲を書いて、演奏するバンドだったんですね。

 それに気がついたとき、他のバンドのボーカルに、すごくいい詞と曲を書くヤツがいたことが頭をよぎった。しかも彼は歌もすごかった。

 それが奥田民生です。デビューするためには、もう絶対に民生が必要だと思いました。

 そんな中、たまたま彼のバンドが解散することが分かって、すぐに声をかけました。これが、僕の思い描いていたバンド――『ユニコーン』が完結した瞬間でしたね。