どこにいても華のある人、若村麻由美。2025年11月から2026年にかけて、全国6都市をまわる舞台公演『飛び立つ前に』では、同じ劇作家、演出家による6年前の舞台『Le Pere 父』で父・娘を演じた橋爪功と、長年連れ添った夫婦を演じる。1987年放送のNHK連続テレビ小説『はっさい先生』でのヒロイン役デビューにはじまり、ドラマに映画、舞台と、現代劇、時代劇問わずに魅せる若村さんのTHE CHANGEを聞く。【第3回/全3回】

若村麻由美 撮影/三浦龍司 ヘアメイク/保坂ユミ(eclat) スタイリスト/岡のぞみ

 ドラマ、映画、舞台と多くの秀作、人気作に出演してきた若村さん。その分、人によって、好きな作品も多岐にわたる。こちらが「ドラマ『沈まぬ太陽』の行天麗子が大好きで、何度も繰り返し見ています」、「アリーの吹き替えをされた『アリー my Love』が本当に大好きです」と争うように口々に伝えると、「そうですか、ありがとうございます」と、にこやかに応じてくれた。

 デビュー作の朝ドラに始まり、若村さんにとって、そうしたファンの声はひっきりなしだろうが、特に映像作品の放送が重なった2023年の夏は、ここ最近のなかでも反響が大きかった年ではないだろうか。その時期、『大富豪同心』第3シリーズ、『初恋、ざらり』、『この素晴らしき世界』、『科捜研の女23』の4本の連続ドラマが放送された。

――いずれも高い評価を受けたドラマになりましたが、なかでも急遽出演が決定し、ひとり二役を務めた『この素晴らしき世界』は大変だったのでは。

※『この素晴らしき世界』・・・フジテレビ系で放送された“なりすましコメディ”。平凡な主婦がひょんなことから大女優になりすまし、二重生活を強いられることになる。若村さんは主人公の主婦と悪魔のような性格の大女優の二役を演じた。

「あのときのことはあまり記憶にないんです。もともと2本決まっていて、そこに連ドラの主演が入ったので、3本を同時に撮影することになりました。自分としてのキャパシティをはるかに超えていたので、本当に、目の前のことだけをやる毎日でした」