「突然始まったので、心構えもないままでした」

――放送時期だけでなく、撮影期間自体が重なっていたのですか?

「そうです」

――いままで、そうしたことは。

「自分が連ドラで主演をしているときには、ほかの連ドラをやることはなかなかないです。主演でない場合は重なることもありますが」

――その主演に関しても、“ひとり二役”という挑戦です。キャパシティを超えても俳優としてやりたい、燃える役でもありましたか?

「突然決まって、突然始まったので、心構えもないままでした。不器用なほうなので、ひとつの作品やひとつの役のことをちゃんと調べて、じっくり考えてからクランクインするタイプなのですが、そうした時間を与えられなかったことが、私にとっては、新たなチャレンジになりました。結果、完走できました。こうやって夢中で走ることって、若いころならありますけれど、この年になっても訪れるんだなと思うことができましたね」

――最終回が特に大きな反響を呼びました。

「この作品は、最初から全話できあがっていました。なので、最初から、最後の告発に向けたドラマとして進んでいたんです」

若村麻由美 撮影/三浦龍司