現在、全国公開中のドキュメンタリー映画『みらいのうた』は、2022年春から3年以上にわたり、THE YELLOW MONKEYのボーカルでありソロミュージシャンとしても活躍中の吉井和哉さんを密着した作品だ。当初はこうした作品になる予定もなければ、もちろん劇的な出来事が起こるなどとはかかわった全員も吉井さん本人ですらも、わかるはずもなかった。撮影中にがんをわずらい、それでも東京ドームでのTHE YELLOW MONKEYのライブを成功に導いた吉井和哉さんの、THE CHANGEとは。【第4回/全5回】

吉井和哉 撮影/横山マサト ヘアメイク/Cana Imai スタイリスト/Shohei Kashima(W)

 現在、ドキュメンタリー映画『みらいのうた』が公開中の吉井和哉さん。3年以上にわたる密着のきっかけは、喉のポリープの手術によりソロツアーが中止になった矢先、事務所社長の「ドキュメンタリーを回しませんか」という一言だった。1シーン目は、吉井さんの提案により母親が住む静岡の実家に帰省した場面。26歳で亡くなった父親に手を合わせ、その足で地元に住む“ロックスター・吉井和哉”の原点といえるURGH POLICE(アーグポリス)のEROさんに会いに行く。この半年前にEROさんは脳梗塞で倒れていた。さらにその後、吉井さん自身の喉頭がんも発覚するーー『みらいのうた』は、冒頭から否が応でも"生死”を意識させるのだった。

「父親の死もあって、若い頃から死生観を身近に感じていたし、実際にそういう気分で歌っているときがありました。でもいま、本当の死生観を父から与えられたような、“おまえはこれから本当の死生観を歌っていけ”と言われたような感じがしますね」