時代を変えてきた映画監督、北野武との出会い

――西島さんは、これまでにも北野監督への感謝の言葉を語られていますね。そのとき北野監督にかけられた、今でも心に置いている言葉などはありますか?

「ありますが、ちょっと言いづらいですね」

――ご自身の胸に留めておきたいということでしょうか。

「いえ、説明が難しいといいますか・・・・・・ひとつは“映画を頑張ってやっていってください”。もうひとつは、 “今ある一つの作品が、もし自分のもとに来ていなければ、他の人にとって人生を大きく変えることであったかもしれない”といったことです」

――出会った作品の重みを忘れないように?

「北野監督ご自身が、時代を変えてきた方で、そのなかで、たくさんの人の運命を変えていったと思うんです。それは、ある人にとってはものすごく素晴らしいことであり、ある人にとっては厳しいことだったのかもしれません。そのことを、ご自身が常に感じながら生きているのではないでしょうか。だからこそ、ひとつひとつの作品に、そうした重みを感じながらやっていきなさい、ということなのではないかと思っています。僕は北野監督のような立場にはありませんが、ひとつひとつの仕事に、そうやって臨みなさいと教えていただいたと思っています」

 恩人・北野監督の言葉をずっと忘れずにいる。すでにそのことが、西島さんの仕事への向き合い方を示している。

(つづく)

西島秀俊(にしじま・ひでとし)
1971年生まれ。東京都出身。大学在学中より俳優活動を始め、1992年に本格デビュー。映画『ニンゲン合格』(99)、『Dolls(ドールズ)』(02)、『CUT』(11)他多数の作品で主演を務め、『ドライブ・マイ・カー』(21)ではアジア人初の全米映画批評家協会賞主演男優賞に輝いた。映画化されたドラマ「MOZU」シリーズ(14~15)、「きのう何食べた?」シリーズ(19~23)などにも出演。近年の作品に映画『首』(23)、『スオミの話をしよう』(24)、『Dear Stranger/ディア・ストレンジャー』(25)、ドラマ『Sunny』(24)など、国内外の作品に出演し活躍中。

作品情報
『人間標本』
原作:湊かなえ 『人間標本』(角川文庫/KADOKAWA刊)
監督:廣木隆一
美術監修・アートディレクター:清川あさみ
出演:西島秀俊、市川染五郎、宮沢りえ、伊東蒼、荒木飛羽、山中柔太朗、黒崎煌代、松本怜生、秋谷郁甫
2025年12月19日(金)よりPrime Videoで世界独占配信(全5話一挙配信)
製作:Amazon MGMスタジオ
コピーライト: ©2025 Amazon Content Services LLC or its Affiliates.
作品ページ: https://www.amazon.co.jp/dp/B0FWX9LPYQ