現役時代から現在の野球解説者まで、常に前向きかつ快活な発言で周囲を楽しませてきた“絶好調男”中畑清さん。ときに冗談を交えつつの語り口が人気だが、一方でプレーの細かな機微までしっかり言及する、野球の目利きでもある。今回は敬愛する長嶋茂雄さんから、MLBの頂点にのぼりつめた大谷翔平選手、自身のCHANGE、そして愛する野球の未来まで、たっぷりと語ってもらった!【第2回/全10回】

中畑清 撮影/河村正和

 2026年3月、いよいよWBCが開幕する。中畑さんは2004年のアテネ五輪で、病に倒れた長嶋監督の代行として、日本代表の指揮を執った経歴がある(結果は銅メダル)。

 しかし、国際試合の重圧は想像を絶するそうで、長嶋さんの病にもプレッシャーが影響していたのではないかという。

「長嶋さんは常々“プレッシャーを楽しみなさい”って言っていたけど、あのアテネのときには変わっちゃいましたから。日の丸を背負って、オールプロで絶対に日本に金メダルを獲らせるんだって臨んだ大会、そのプレッシャーで病気になってしまったのかもしれない。
 長嶋さんは日本の野球を、本当に愛している。天覧試合のホームランに始まり、日の丸を背負って、世界にメッセージを送れる野球界にするんだっていう責任感を持って生きてきたんじゃないかな。アテネ五輪は自分がユニフォームを着る最後のチャンスだと、覚悟して挑んだんだと思う。それもあって、予選で力を使い果たしてしまったのかもしれないね」