「自分が出ている舞台は、絶対に生で見ることができない」生で繰り広げられる舞台の魅力

──では、映像の魅力は?

「それぞれが自分で用意したものを持ち寄って、ヨーイドン! で出すところですね」

 映像と舞台で大きく違うのは、自身の演技を客観的に見ることができるかどうか。

「自身が出演した映画作品の場合、たとえば試写室で見られるということでしたら、スケジュールが合えば見に行きますが、オンライン試写の場合、iPadで見るわけで、(はたして)それで“見た”と言ってもいいのだろうか? という気持ちがあります。じゃあ、“またいつか、機会があったら映画館で見よう”と思っても、なかなかすべてを見るのは難しいんですよね。さらに舞台でいえば、自分が出ている舞台は、絶対に生で見ることができないわけで」

東出昌大 撮影/有坂政晴 スタイリスト/檜垣健太郎

 本来、人見知りだという彼にとって、時間をかけて共演者と心の距離を近づけていけるのも、舞台の良さ。

「今回ご一緒する大鶴佐助さん、バレエダンサーでもある首藤康之さんとは18年の三島由紀夫原作舞台『豊饒の海』で共演させていただいたとき、稽古終わりにお酒を飲みに行って、作品について腹を割って話をできたのがよかったです。一緒に過ごす期間が長いと、稽古時間以外にも対話できるのがいいですね。端的に言うと、結局“飲みに行く”ということだったりするんですけど(笑)」