現役時代から現在の野球解説者まで、常に前向きかつ快活な発言で周囲を楽しませてきた“絶好調男”中畑清さん。ときに冗談を交えつつの語り口が人気だが、一方でプレーの細かな機微までしっかり言及する、野球の目利きでもある。今回は敬愛する長嶋茂雄さんから、MLBの頂点にのぼりつめた大谷翔平選手、自身のCHANGE、そして愛する野球の未来まで、たっぷりと語ってもらった!【第10回/全10回】

中畑清 撮影/河村正和

  現役時代から長嶋さんの愛弟子として知られ、6月の告別式では、弔辞で「あなたは私の人生のすべてです」とまで述べた中畑さん。それほどまで心酔した要素は、いったいどこにあったのだろうか。

──長嶋さんの並外れた才能については、ひと言では言い表せないと思いますが、あえて言うと、どこが傑出していたのでしょうか?

「現役時代も監督時代もそうなんだけど、とにかく切り替えの天才だよね。失敗を失敗と思わないで、前向きに捉える。そういう考え方や行動の仕方は、長嶋茂雄流だなと思うことがたくさんあるね。それは野球に限らず、遊びの中、ゴルフをするときでも、失敗がすごく糧になっている。“失敗してよかった”と言えるぐらい、次のエネルギーにしてしまう。その切り替えの早さは、天才的なものを持っていたなと思っているよ。
 実は失敗したことを引きずってミスを怖がっていると、無意識に体が失敗するように動いてしまうんだよ。俺は絶対にそうならないように、切り替えの早さだけは真似しようと思っていたんだ」