“自分が前に出る”よりも…「“後輩を前に押し出す”役割をやろう!」

「それなら自分は、“自分が前に出る”というよりも“後輩を前に押し出す”役割をやろう! と思って、実際にやり始めたんです。先輩たちが私にしてくれたことを、私もしようって。今まで教えてもらったことを次は私がやっていこうって決めました」

――たとえば、どんなことをするのでしょう。

「劇場公演で、楽曲中のフリータイムにファンのみなさんへアピールする時間があったりするんですけど、後輩の子たちが“前に行っていいのかな……?”と遠慮している感じだったら、そんな子を見つけては“大丈夫だよ! 前に行って!”と背中を押したりしていました。相談されることも増えていましたね。そうしないと、自分を保てない気がしちゃって。それがたぶん、高校を卒業した私にとって、一番の居場所だったんだろうなあ」

――役割を見つけないと自分が保てない、という気持ちはとてもよくわかります。

「じゃないと、目標を見失っちゃいそうで。“選抜に入る”という目標は常にあるけど、その前に目標を何かひとつかなえないと前に進めないなあ……と思いつつ、でも、その目標ってなんだろうって、ずっと考えていて。そうやって考える時間が、自分の中ではすごく嫌いな時間だったんですよ。くすぶっている時間というんでしょうか。考えるのを避けるために、自分の居場所を頑張って見つけていました」

 もがく本郷さんに、ファンは「もっと自分に自信を持っていいのに」と声をかけてくれた。「耳が痛いほど言われました」と振り返る。

本郷柚巴 撮影/河村正和