自然体で挑んだ二役の距離感 「無意識に感じたものだけを信じて演じました」

 不慮の事故というショッキングな出来事から紡ぎ上げられる切ないラブストーリー。台本を読み込んでいく中で、キャラクターについて、どのように捉えていたのだろうか。

「台本を読んだ段階で、涼らしさ、恵らしさ、みたいなものが本の中にしっかりと息づいているのが十分にわかったので、無意識に感じたものだけを信じて演じました。眼鏡をかけている、かけていない、左利き、右利きみたいな外見上の違いもあるので、そこに僕が意志をもって変化をつけてしまうと、ちょっと多すぎるだろうな、と思ったので、自然と、そのままやらせてもらった感じです」

 監督は『世界の中心で、愛をさけぶ』『ナラタージュ』など数々の恋愛映画の名作を手掛けてきた行定勲さん。現場ではどのようなコミュニケーションを取ったのだろうか。
 
「あまり細かい指示はありませんでした。基本的に自由にやらせてもらった感じです。いろんなテイクを撮る中で、飽きたらまた違うことをやったりして、そういうことも許してくださるような感じでした。お芝居やキャラクターの動き、表情などの部分はそのときの僕たちの感覚に任せてくださった印象です」

福士蒼汰 撮影/冨田望 ヘアメイク/永野あゆみ スタイリスト/菊池陽之介