「役者をやろうと心を決めました」中村雅俊の背中を押した演出家の言葉

 大学では英語サークルに入り、3年生のときには、複数の大学が合同で作るオリジナル英語ミュージカルのオーディションに挑戦。もちろん合格かと思いきや……。

「プロデューサーと演出家を前に、自分で作った英語の歌を何曲か歌ったんですけど、これまた見事に落っこちました(笑)」

 このころ、中村の心には「役者になりたい」という気持ちが芽生えていたという。しかし、あと一歩踏み出す決心がつきかねていた。

「オーディションには落っこちたけど、演出家がおれのことを褒(ほ)めてくれたんですね。“You are something”、“あなたには何かがある”って。この言葉に背中を押してもらって、役者をやろうと心を決めました」

 このとき、背中を押してくれたのは、キャスティングディレクター、演出家、作詞家など、さまざまな分野で活躍する奈良橋陽子氏だった。そして、プロデューサーは、奈良橋氏の夫で、後にゴダイゴを世に送り出す、ジョニー野村氏。

「オーディションのあと、ジョニーから“歌をやらないか”って言われて、デモテープを作ったんですよ。それを持って彼がいくつかのレコード会社に売り込みに行ってくれたんですけど、すべて落っこちたそうです(笑)」

中村雅俊 撮影/有坂政晴