名取裕子の転機「松本清張先生の作品に出会ったことですかね。でも、一番となると…」

「うーん、一つの作品とか一人だけを選ぶのは難しいですけど……。私の転機は、ということですよね。松本清張先生の作品に出会ったことですかね。あの辺から“清張女優”と言われるような、情念の深い女性の役をやらせていただいたりしたので。

 でも、一番となると……デビューですね。デビュー作の連続テレビ小説『みゆき』で、小山内美江子先生と出会ったことです」

――名取さんも第1シリーズから出演された『3年B組金八先生』を手がけられた、あの小山内先生ですね。

「はい。デビューの連続テレビ小説『おゆき』を小山内先生が書いてくださったんです。そこで女優になったから、そこが転機ですね」

名取裕子 撮影/有坂政晴

 過去のインタビューで名取は、女優人生の歩みを以下のように語っている。そもそも女優になる気はまったくなく、大学で所属していた広告研究会で、カネボウ化粧品のコンテストの応募者集めを頼まれたのが芸能界デビューのきっかけだったという。

 人数合わせのために自分の写真も入れたところ、最終予選に残ってしまった。水着審査があると聞いて断るつもりだったが、参加賞のホームステレオに目を付けた兄から「一時の恥で家の宝が手に入るんだぞ。行ってこい!」と背中を押されて出場。そこで準ミスに選ばれた。

 それでも、すぐに女優を志したわけではなかった。デビュー後も、生活のため、学生のアルバイト感覚で家庭教師もしていたという。

 小山内美江子先生の脚本でTBSポーラテレビ小説『おゆき』の主演で本格的に女優デビューし、その2年後には小山内作品『3年B組金八先生』で美術教師のマドンナ役を演じ、清純派女優として人気に。

 そんな彼女が“松本清張女優”と言われるようになったのは、23歳のとき出演したNHKドラマ『けものみち』出演がキッカケだった。

 その少し前、仕事の人間関係で悩んでいたときに、演出家の和田勉から自宅に直接電話があり、松本清張原作のドラマ『けものみち』への出演を請われた。「もし和田さんがお電話をくださらなかったら、こういう形で女優を続けていられてたかどうか……」。

『けものみち』以降、“情念の女”を演じる女優として唯一無二の存在感を放つようになった名取。特に、W主演の友近も絶賛する五社英雄監督の『吉原炎上』は代表作の一つだ。

 最終回は、名取さんの美の秘訣から、プライベートの過ごし方、表現者としての今後まで語っていただいた。

つづく

名取裕子(なとり・ゆうこ)
1957年8月18日、神奈川県生まれ。青山学院大学在学中に「カネボウ・サラダガール・コンテスト」で準ミスに選ばれ、芸能界入り。1977年、TBSポーラテレビ小説『おゆき』のヒロインとして、本格的に女優デビュー。以降、映画『序の舞』『吉原炎上』『マークスの山』、ドラマ『けものみち』(NHK総合)、『法医学教室の事件ファイル』シリーズ(テレビ朝日系)、『京都地検の女』シリーズ(テレビ朝日系)など、数多くの映画、ドラマ、舞台で活躍。トップ女優として不動の地位を築く。趣味は料理、釣り、三味線、旅行など多彩。

©2026テレビショッピングの女王『青池春香の事件チャンネル』製作委員会

■作品情報
『2時間サスペンス THE MOVIEシリーズ』第一弾『テレビショッピングの女王 青池春香の事件チャンネル』
出演:名取裕子 友近 / 風間トオル 加藤諒 / 国広富之 / 中山忍 東ちづる 水野真紀 ほか
監督:白川士
脚本:渡辺典子
企画統括:菅井敦
配給:イオンエンターテイメント、ホリプロ
公開日:2026年2月6日
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