俳優・佐藤浩市の出演作リストは驚くべき長さだ。1980年のデビューから映画、ドラマに出演しつづけ、2023年は横浜流星と共演する主演作『春に散る』をはじめ、公開される出演映画は実に9本になる。佐藤さんにとっての「THE CHANGE」とはなんだったのかーー。【第4回/全4回】

佐藤浩市 撮影/三浦龍司
佐藤浩市 撮影/三浦龍司

ーー佐藤さんにとっての大きな変化、THE CHANGE、というとなんでしょうか?

「どこだろうな……だいたい作品になってしまうんだけど、出会いですよね。

 いつも言っているのは、相米慎二との出会いがあったりとか、阪本順治との出会いがあったりとか、そういうところですかね。
 やっぱり監督との出会い。深作(欣二)さんと一緒にやったことも、いろいろな意味で自分にとってはよかっただろうし、そういうところですね」

 佐藤さんは相米慎二監督、夏目雅子主演の『魚影の群れ』(1985)で、フィルムを回さず、照明もカメラも決まらないなかで演技をし、それが固まってきた時点で準備を始める、という相米監督のスタイルに衝撃を受けた、と過去に語っている。
 また、阪本順治監督とは『トカレフ』(1994年)から、息子・寛一郎さんとの共演作となった『せかいのおきく』(2023年)まで、40年近くにわたって「阪本組」の中心として活躍を続けてきた。
  
ーー映画『キングダム 運命の炎』やTVerオリジナルドラマの『潜入捜査官 松下洸平』など、本当に多岐にわたってお仕事をされていますが、それは自覚的にいろいろやりたいという気持ちがあるのでしょうか?

「たまたま、公開時期が重なっただけではありますね。あと、石井裕也のやつ(※10月公開の石井裕也監督『愛にイナズマ』)も石井と一緒にやろう、と言っていた企画が流れて、あいつがパッと一週間で書いた企画が通ったんです。企画通っちゃったのか? なんて言ってね(笑)。
 そんなふうに、もともと違う作品に参加するはずだったのに、企画が流れてしまって、急に書いた企画が、意外にひょうたんからコマ的な面白さだったりする。そういう、偶発的なものがけっこうおもしろかった。

 結局、そういうことなんですよ。
 偶然が重なって、できたりするものもあるわけです。準備準備準備、ってやれるものもあれば、急に準備なしで始まるものもある。それも、映画の面白さじゃないでしょうか。
『春に散る』も準備準備準備だったんですが、これも1回飛んで、それからまた準備し直して、またもう1回リスタート。それでできあがった作品ですね」