サスペンスドラマの中に生まれる、軽妙な会話の「おかしみ」

ーー作品としては、唐田えりかさん演じる連続殺人事件の犯人とされる女性と、タイムスリップした3人が出会い、現在と過去を舞台に事件の真相を追う本格サスペンスですよね。シリアスな展開の中で、内田さんの喫茶店がほっとシーンを作るのではと思いますがいかがですか?
 
「そうなんです。作品のテイストは、重い大事件が軸になっているサスペンスではありますが、脚本家の森ハヤシさんのセリフが軽妙で、台本を読むだけで“なにこのやりとり~!”とクスッと笑っちゃうようなところがあるんです。
物語を進めるだけじゃなく、普段の会話のやり取りの中には"おかしみ”があるじゃないですか。おかしみの理由のひとつは停滞だと思いますが、会話がスムーズに進むのではなく、ちょっと停滞したりという無駄がちゃんとあるんです。森ハヤシさんが書く会話がおもしろくて、この作品はそういうおもしろみもあると思います」
 
 脚本のおもしろさを魅力的に伝えてくれる内田さんだが、10代から舞台演劇に携わってきたからこその知見ではないだろうか。内田さんが本格的に演劇の世界に足を踏み入れたのは19歳のとき、通っていた日本大学芸術学部を中退したことが始まりだった。
 
「親は大学を辞めることはもちろん、演劇の道に入ること自体反対していましたが、"学生演劇から入るより、もう現場に行っちゃったほうがいいかな”と思い、それで受けた舞台のオーディションに受かり、大学を辞めたんです。その頃は結構親を泣かせましたね」

内田慈 撮影/有坂政晴