濱田岳が2016年に戻ったら“やりたいこと”

――もう一度やり直すのが面倒、ですか?

「楽しいことをするためには、そこに至るまでに努力をしないといけないと思っていて。もちろん、あの時の楽しさをもう一度味わいたいと思うこともあるけれど、そのために大変な経験ももう一度しないといけないと思うと、面倒だなあって思っちゃいます。それに、たとえば子供の頃に戻るのなら、なんかもう本当にもっと勉強しておけばよかったとは思うんですけど、10年前って微妙で………。脳だけ歳とった状態で10年間をやり直すって、誠みたいに何かしら目的がない限りは辛いだけな気がするんですよね」

 10年前の2016年。濱田岳は27歳で『釣りバカ日誌』に出演していた。俳優であること、演じていることは今と変わらない。ただひとつ、変わったことがある。

「あの時に戻れるのなら、西田敏行さんともっとふざけておけばよかったと、本当に思います。技術をもっと学びたかったという気持ちはもちろんありますが、それ以上に心の持ちようも大切だったと感じています。僕にとって西田さんは大師匠です。10年前を振り返ると、『釣りバカ日誌』という作品があり、あの現場であの方と接していたのだから、もっと頑張らなければならないと思います」

 長く活躍している濱田岳の役者人生の中でも『釣りバカ日誌』が印象に残っている人は多いだろう。彼が師と仰ぐ西田敏行さんとのエピソードを話してくれた。

「『釣りバカ日誌』で西田さんが育ててきた浜崎伝助を演じることになった時、すごく緊張しましたし、プレッシャーがありました。西田さんが演じていた浜崎伝助への愛を持っている方々が、僕自身を含めて多いと思っていたんです。演じさせていただくことが決まった際に、西田さんご本人にご挨拶に伺い『すごく緊張します』とお伝えしたら『僕も三國連太郎さんから受け継いだ時はすごく緊張しました。一緒に新しいものを作りましょう』と言ってくださったんです。その言葉がすごく印象的で、僕もそんなこと言える日が来るのかなと思いましたね」

濱田岳 撮影/松野葉子 ヘアメイク/吉村英里 (MARVEE)