9歳でのTHE CHANGE「現場にいることの楽しさを、あの時に教えてもらいました」

 「唯一自分に才能というものがあるとしたら、人と巡り会う運は持っているなと思うんです」と濱田岳はキッパリと話す。自分で何かを選びながら進んできたと言うより、人と巡り合いながら好きな人に囲まれて過ごしてきていたら28年の役者人生が出来上がっていたと。

「初めての現場が9歳だったのですが、当時はマッチョイズムが色濃いというか、温かくも厳しい現場だったんです。楽しいというより、子どもながらに緊張感があったのを覚えています。けれど、きちんと準備をして現場に向かうと『おまえ、ちゃんと考えてきたな』と見てくれる人がいて、仲間に入れてくれるような感覚もありました。現場にいることの楽しさを、あの時に教えてもらいました。

それが今でもずっと、僕の中で変わらないものなんです。演技が好きかというと、実はそうでもなくて、僕は現場にいること自体が楽しいんです。だから、楽しいことのために、自分がそこに向かってどれだけ何をするかというのは、試合で勝つために練習を頑張ることと同じで、たぶんどの仕事でも、どんな部活でも勉強でも共通していることだと思います。現場に行って、みんなで楽しく話しながらも、それぞれが自分のやるべきことをきちんとやる。そうやってここまで続けてこられたのは、さまざまな素敵な人たちに出会えたからだと改めて思います」

 「タイムリープで過去に戻りたいとは思わない」と話す濱田岳。順風満帆に見える濱田の俳優人生だが、意外にも辞めたいと思い悩んだ時期があったという。

「実は、この仕事をもうやめちゃってもいいかな、くらいに思っていた時期があったんです。そんな中、嫌々オーディションに行き、そこで出会ったのが中村義洋監督。『この作品が終わってから辞めたら』っておっしゃっていただいて、映画『アヒルと鴨のコインロッカー』という作品に出演させてもらったんです」

濱田岳 撮影/松野葉子 ヘアメイク/吉村英里 (MARVEE)