ときは平成、1990年代後半。クラスの男子の大半が夢中になり、女子がなりたくて憧れた存在、鈴木亜美さん。普通の女子高生だった彼女が、オーディション番組『ASAYAN』(テレビ東京系)を経て、文字通り一夜にして国民的歌手にCHANGEしたことは、多くの人の記憶に刻まれている。25周年となる今年は、記念ライブを開催し、新曲をリリースするなど精力的に活動中。テレビに映る姿からは知り得なかった、鈴木亜美さんのTHE CHANGEとはーー。【第4回/全5回】

鈴木亜美 撮影/冨田望

 1999年、87万枚を売り上げた大ヒット曲『BE TOGETHER』で同年末のNHK紅白歌合戦にも出場した鈴木亜美さん。いよいよ国民的人気が確立し、翌年10月、ドラマにも初出演で初主演を務めた。作品名は『深く潜れ~八犬伝2001~』(NHK)。

 共演者には小西真奈美さんや千原兄弟、高橋惠子さん、テリー伊藤さんが名を連ねる。が、これがひと悶着あったという。

鈴木「オファーをいただいたとき、“さすがにお芝居なんて絶対できない!”と思っていたので、マネージャーさんと初めて言い合いました。経験もないし、レッスンしたこともないし、“できません!”って。でも最終的にはバーンって投げられて、やるしかない! と覚悟を決めたんです」

ーーいざ、初めての女優業はいかがでしたか?

鈴木「ものすごく恥をかきました。まず、撮影前に“本読み”という台本を読み合わせる日があるんですが、このことすら、私はもちろんのこと事務所の人も知らなかったんですよ。どちらかというと音楽に強い事務所で、誰もドラマ現場の経験がなかったので」

 鈴木さんは「本読み」=「本を読むこと」ととらえ、とりあえず台本の文字を追った。しかし、共演者たちはというとーー。

鈴木「みんなその時点でお芝居ができているんですよ。感情を込めてセリフを言っていて。小西真奈美ちゃんとか、すっっっごく上手いわけですよ」