もしかしたら自分も同じようなことをしているのではないかって、ドキっとすると思う
「そこから抜け出すには、劇的に環境が変わるきっかけが必要だったり、新しく出会った人から“間違っているよ”って言ってもらえないと自分では気づけないと思うんです。悪いことをしているのに気づけないようになったら怖いな、と感じています」
一見、普通に見える日常のシーンも、見逃さないでほしいという。
「恋人と旅行に行く直前、夫の文則と会話するシーンでも、綿子は普段通りに水を飲んで“おはよう”と言っている。文則に対して、罪の意識が薄いのだと思うんですよ。そういう部分でも、この映画って“もしかしたら自分も同じようなことをしているのではないか”って、ドキっとすると思います」
2人の男性の間で揺れ動く『ほつれる』の現場の雰囲気はどうだったのだろうか。
「『ほつれる』は、大変な撮影だったので終わった時はすっきりとした気持ちになりました。この作品は、楽しみながら演じるっていう内容ではなかったので、どちらかというと撮影終了は“卒業”みたいな気持ちでした。
現場の雰囲気はすごく居心地が良かったし、毎日通い続けたマンションには愛着が生まれたので、最後の日は寂しくて感慨深かったです」
まるでプライベートの会話のようにリラックスした姿で取材に臨む門脇さんの姿は、心の底から女優業を楽しんでいるように見えた。
門脇麦(かどわきむぎ)
1992年ニューヨーク生まれ。2011年に『美咲ナンバーワン‼』(日本テレビ系)で女優デビュー。2014年に公開された『愛の渦』、『闇金ウシジマくん Part2』などの演技が評価され、第6回TAMA映画賞最優秀新進女優賞、第36回ヨコハマ映画祭最優秀新人賞、第88回キネマ旬報ベスト・テン新人女優賞など新人各賞を受賞。2018年に公開された『止められるか、俺たちを』で主人公を演じ、第61回ブルーリボン賞主演女優賞を受賞。最新映画『ほつれる』では、主人公の綿子を演じる。
ヘアメイク:Yoko Fuseya(ESPER)/スタイリスト:Satoshi Takano
ドレス¥71,500、シューズ¥59,400(共にコズミックワンダー/センター・フォー・コズミックワンダー03・5774・6866)
バングル¥27,500(ヤエカ/ヤエカ アパートメント ストア03・5708・5586)
イヤーカフ¥15,400(パール オクトパシー/フィルグ ショールーム03・5357・8771)
映画『ほつれる』
主演・門脇麦 田村健太郎 染谷将太 黒木華
9月8日(金)、新宿ピカデリーほか全国公開
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