2011年に女優としてデビュー以来、数多くの映画やドラマに出演し若手演技派女優の地位を確固たるものとしている門脇麦。NHKの連続テレビ小説『まれ』(15年)、大河ドラマ麒麟がくる』(20年)での演技でも大きな注目を集めた。女優人生の中で訪れた「CHANGE」について語ってもらった。【第3回/全5回】

門脇麦 撮影/松野葉子

 変幻自在な女優誕生のきっかけとなる「CHANGE」を聞いた。

女優を志すきっかけとなった映画

 門脇さんは数多くの映画やドラマに出演しているが、そもそも女優になりたいと思ったきっかけは何だったのだろうか。

「私自身が女優になりたいと思ったきっかけとなった作品は、04年の映画『花とアリス』です。この作品を観て、映画の仕事をやりたいって思いました。あと高校生のとき、02年の映画『害虫』での宮崎あおいさんの演技を観て、“自分と同じ10代の女優さんが出ている”と衝撃を受けました。

 それまではドラマを主に観ていたので、スクリーンで見る宮崎さんの透明感のあるナチュラルな演技に、すごく憧れたんです。あと演技の世界なら、10代から働けると知って女優を目指したので、そこが人生の転機だったと思います」

 映画の世界は、次々と門脇さんを魅了した。そして「女優になりたい」という夢を後押しし続けた。まさに人生の転機が訪れたのだ。

「ほかにも04年『カナリア』の、まだ14,5歳だった谷村美月さんの演技も驚きましたね。自分と同じ10代の子たちが映画に出ているのを観て、タップダンスやジャズダンス、ボイストレーニングができるスクールに入りました」

 女優を目指したバックグラウンドには、人生の挫折があった。門脇さんはプロのバレリーナを目指していた。

「5歳からずっとクラシックバレエを習っていました。プロを目指すほど頑張っていたのですが、プロにはなれないと諦めて中学の時に辞めたんです。でも、宮崎あおいさんや蒼井優さんの映画を観て、舞台に立つことがしたい、女優をやりたいという思いが固まりました。

 そこで、“とりあえず事務所に入ろう”と思って、事務所を全部調べました。 “ここはモデルから役者になっているな”とか、“この事務所はCMの仕事が多いな”とか傾向を分析して、自分にはどういう事務所が合うのかを考えました。本当に、若かったから怖いもの知らずでしたね(笑)。その中で今の事務所は、やりたいことに凄く近かったので履歴書を送りました」