神谷明のキャリアは53年におよぶ。特に『キン肉マン』、『北斗の拳』、『シティーハンター』と連続して伝説的作品で主演した1980年代の活躍は圧巻の一言。中でも“代表作”と語る『シティーハンター』と主人公・冴羽リョウ(※正しい表記は「けものへん」に「尞」)の人気は不変で、2023年9月8日より劇場版最新作『劇場版シティーハンター 天使の涙(エンジェルダスト)』が公開中。いまだ現役という超人ぶりを見せつける神谷さんのTHE CHANGEとは――。【第1回/全4回】

神谷明 撮影/冨田望

 この9月18日に77歳の喜寿を迎える神谷明さん。取材は夕方の時間帯だったが、『シティーハンター』の冴羽リョウを思わせるブルーのジャケットをまとい、満面の笑みで現れた神谷さんには、全身に陽のパワーがみなぎっている。

 冒頭に写真撮影をお願いすると、シャッターが切られるや、本サイトのアイコンである砂時計を手に、「もっこり!」と絶好調。一気に場を和ませてくれた。重鎮ながら、周囲にまったく気を使わせない人柄の神谷さん。まず、昨今とくに高まる声優“ブーム”について聞いてみた。

――ここ数年、声優のアイドル的な人気で“声優“ブーム”が続いていますが、こうしたムーブメントをどう感じていますか?

「いやいや、声優ブームというのは、ここ数年のことではなくて、もう何十年とずっと続いていることです。僕らが最初ですから。第一次アニメブーム(※『宇宙戦艦ヤマト』の頃とされる)のときですね。そこからずっとです。今言われているブームというのも、決して降って湧いたものではなくて、流れをずっと引き継いでいるんです。ただ質は変わってきているのは感じますけど」

――というのは、たとえば?

「今の声優さんというのは、僕らの時代よりもずっとエンターテイナーになっているなと感じます。歌も踊りも素晴らしいですもん。それと、イベントのスケールがでかくなったでしょう。何万人という観客が入るスケールでコンサートをするわけだから」

 たしかに水樹奈々さん、宮野真守さんら声優出身のアーティストが、ドームやアリーナでライブをすることも珍しくなくなった。

「それを僕は目を細めて見ています。パイオニアとしては嬉しくてしょうがない。僕らが始めたことが、脈々と受け継がれていると思っています。応援しています」